サードウェーブコーヒーがもたらす持続可能な社会
コーヒーにサードウェーブの時代が来て数年。
日本でもサードウェーブを謳うカフェが軒を連ね、大小さまざまなお店が個性的なスペシャルティコーヒーを競って提供しています。
自分はコーヒーはどちらかというとセカンドウェーブで主流の苦め深煎りが好きで、シアトル系コーヒーチェーンには、どれを飲んでも深め寄りのロースト、カスタマイズの自由度、比較的ゆったりとしたお店の雰囲気や立地のよさが気に入ってよく立ち寄っています。
もちろんコーヒー好きですから、サードウェーブコーヒーも日本にやって来てすぐに味わってみました。
…が、浅煎りの酸味や、「コーヒーを本当に分かった人がスタンドで1人で楽しむ」というお店の雰囲気が当時の自分にはどうも似合っていないように感じてしまい…。
それ以来サードウェーブのお店に立ち寄ることはなくなっていました。
そのお店を街で見かけても横目で見ていたある日、「サードウェーブコーヒー上陸から6年」というニュース記事を見つけました。
サードウェーブが来たのはつい最近の感覚でいた自分にもそうですが、その記事に書かれている内容に少々驚きました。
オープン当初のそのお店のイメージが変わっていたのです。
決まったシンプルコーヒー以外のメニューはほとんどなかったはずが、食事系も準備されていたり。
カウンターテーブルのみだったはずが、親子連れでも訪れることができるような憩いのスペースを提供していたり。
以前のような洗練されて意識の高い雰囲気はそのままながら、敷居はちょっと低くしてくれたことが分かって、嬉しくなりました。
そもそもサードウェーブコーヒーの大きなポリシーは「トレーサビリティ(追跡可能性)」と「サスティナビリティ(持続可能性)」が明確であるかどうか。
つまり、
「その豆がどこでどんな育てられ方をして、どんなルートでやって来てくるのか?」
「その営みは無理なく公平に、平和に続けていくことができるのか?」
という2点が重視されています。
「農園からコーヒーカップまで」の徹底した品質管理が実現していて、かつ消費者だけでなく生産者にも利益をもたらさなければならない、ということです。
この2つが適った時点で、生産される生豆は高品質でオリジナリティあふれるものになり、その個性を活かすために煎り方は浅め、酸味が強くフルーティになります。
そしてその個性を堪能するのに余計なトッピングやおしゃべりタイムは必要なく、ただただこのスペシャルティコーヒーだけを味わってもらいたい、そんな思いからカウンターテーブルのみ、というスタイルになっていました。
でも、そんなサードウェーブコーヒーが、お客様のニーズに合わせてフレキシブルに進化しています。こだわりの信念はしっかりと守りつつ、私たちに新しい楽しみを与えてくれています。
生産者もお客さんもハッピーになれるスペシャルティコーヒーは、1人で堪能するのもいいですが、気の合う友人や大事な家族と共有したくなるのは自然の流れ。
こうして自然に広がっていく人の層も置き去りにせず、彼らに合わせてハッピーの幅を少し広げて、さらにファンを増やしていく。そんな柔軟な姿勢が結果的にポリシーを貫き通すことを可能にしてるんだ…そんな発見がその記事からはありました。
近いうちに敷居がちょっと低くなったあのお店に立ち寄って、酸味が強めのコーヒーと、それによく合うフルーツソースのワッフルを食べてこようと思います。